★平成23年度事業報告
1)障害者自立支援法の改革の流れ
2006年10月から本格施行された障害者自立支援法は新事業体系移行について施行後5年間の経過措置期間が2011年度末で終了し、旧法の知的障害者入所更生施設は廃止となり、障害者支援施設として日中活動と住まいの場に分離され、制度上24時間、365日切れ目のない一貫した支援が困難となりました。
2)入所施設も生活の場とする取り組み
2011年8月総合福祉部会から「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言―新法の制定を目指して―」(骨格提言)が発表されました。この骨格提言は「障害を持っていても人間である」という親の願いや、障害福祉を施しや憐れみではなく、障害者を権利の主体者と位置付けた理念は評価できるものの、一方、生涯を通じた知的障害者の支援についての視点がなかったこと、特に入所施設を否定し、地域移行を法定化することには反対するという考えで総論賛成、各論反対の立場で運動を行いました。その結果、総合福祉部会の検討委員やJDN政策委員会等で入所施設の必要性が再認識されたことが大きな成果です。
3)障害者総合福祉法の法案づくり
このような中で、2012年3月13日には「地域社会における共生の実現に向けて新たな障害福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律案〜(障害者自立支援法の一部改正)」が閣議決定・即日国会に上程しました。
この法案は障害者自立支援法を一部改正し、法律の名称変更に過ぎず、看板の掛け替えであり、障害者とその家族、関係者にとって大きな期待を裏切るものであります。今後、この法律の根幹の問題である障害程度区分、応益負担、事業体系、日割り計算等の問題について継続して「障害者総合支援法」の抜本的な改正運動に取り組む必要があります。
4)全施連活動の取り組みを振り返る
全施連は障害者自立支援法の成立前からこの法律の問題点の廃止、改正運動を家族が一つになり行ってきました。私達は知的障害者のしあわせを願い一生懸命運動し、頑張ったのに、このような結果になり残念です。一方、私達や多くの他の団体の運動によって、問題点を指摘し行動を起こしたことで、政府・与党は私達の主張を聞かざるを得なくなったことは大きな成果です。成果は充分ではないとしても、次の点については私達の運動の成果と評価すべきことです。
1.障害程度区分の見直し 障害程度区分から障害支援区分へ .2.障害程度区分による利用制限の緩和
旧法の入所・通所施設を現に利用している者、若しくは旧法入所施設・通所施設を退所し再度利用する者は障害程度区分に関わらず、生活介護、施設入所支援はできる。平成24年度検討課題として障害程度区分に関わらず、市町村が必要と認めた場合は利用できるとする。 3.利用者負担の軽減
所得が障害基礎年金のみの者は原則負担なし(食事等実費負担は除く) 4.就労継続の組み合わせが可能に(平成24年度検討課題)
5)その他(義援金募集活動・顧問団PT・全国大会・一般社団法人化)
1.東日本大震災義援金 3.11東日本大震災により岩手県、宮城県、福島県、茨城県、千葉県、広範囲に亘り甚大な被害を受けた知的障害者とその家族、施設関係者に少しでも役立ちたいという想いから義援金活動を行いました。全国から一千ハ百万円が集まり、各県連支部及び知的障害者福祉協会を通じて義援金を届けることができました。
また、デンマークの知的障害者の音楽バンドがチャリティーコンサートを開催し、全施連に送金してくれました。このコンサートで出演者、観客が着たTシャツの版権を全施連が頂き日本で作り、全国大会等で販売し利益を義援金として役立てることができました。2.全施連提言の検討と取り組み 本年は「家族が求める暮らしのあり方」〜親の想いを社会にとどけたい〜をテーマとして全施連の顧問団の中に顧問団PT会議を設置し、研究者、施設関係者、家族が構成員となり、それぞれの立場から家族の求める施設像について年間8回の議論を重ね全施連の提言書として社会に発信する取り組みを行いました。 3.全国大会inちばの開催 千葉県幕張で開催された全国大会―千葉大会は東日本大震災の影響があったにもかかわらず、全国から600名を超える会員が幕張に集まり盛大に開催することが出来ました。全施連の力が年々大きくなっていることが実感できます。千葉県知的障害者施設家族会連合会はじめ関東連合会の皆様の献身的なご協力に感謝申しあげます。 4.一般社団法人全国知的障害者施設家族会連合会の設立 全施連は2011年10月人格なき社団から一般社団法人全国知的障害者施設家族会連合会として法人登記を行いました。
知的障害者が豊かに安全で安心かつ快適な生活、暮らしが求められています。今後とも私達の力を結集して我が子らの幸せを追求し、なお一層のご協力を願って事業報告とします。
1. 平成23年度 第7回 全国知的障害者施設家族会連合会 全国大会 in 千葉
月 日 | 会 場 | 内 容 | 参加者 |
9/13(火) 〜 9/14(水) |
Hニューオオタニ幕張(千葉県) | 大会テーマ「考えよう!わが子らが安心して暮らせる場を」 記念講演 講師 伊藤 周平氏 鹿児島大学法科大学院 |
651人 |
2. 支部長会
月 日 | 会 場 | 会 議 内 容 | 参加者 |
6/10(金) 6/11(土) |
大阪府茨木市 | 総会・討議「「施設のありかた像」 | 46名 |
9/14(水) | 千葉 (全国大会後) |
・ 東日本大震災の義援金について・請願 ・ 法人化 ・会報発行 ・PT会議中間報告 |
41名 |
1/18(水) 1/19(木) |
宮崎市 | ・法人化に伴う連合会組織について ・「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」 に対する全施連の意見書について他 |
46名 |
緊急支部長会 10/24(月) |
名古屋 | ・ 全国一斉請願活動について ・ 沖縄事件報告とその背後にあるもの |
38人 |
3. 広報活動
広報委員会設立 編集局 神奈川・福岡・愛知
年間 3回発行
4. 東京都施設家族会等連合会による本の制作と販売協力
東京都施設家族会等連合会制作「我輩はダウンである」(1000円)の販売協力。
全施連に200円還付、各県支部に100円還付
5. 本の販売斡旋
期 間 | 事 業 名・内 容 |
年間 | サポート購読の斡旋 (手数料約5万円収入) |
6. 東日本大震災義援金活動
第1次 第1次分配 |
3/25〜8/31 (8/31まで 15,482,857円) 岩手・宮城・福島・千葉・栃木・茨城にて義援金配布 JD義援金配布 計1600万円配布 |
第2次 Tシャツ販売 第2次分配 |
・8/27 デンマークでチャリティーコンサートを実施 ・義援金付Tシャツとして販売する9/13〜11/30Tシャツ1602枚販売 総計21,611,926 円 H24年度 配布分 4,043,436円 |
7. 顧問PT会議
日 時 | 場所 | 内 容 |
@4/25 | 博多 | 小賀久氏 他6人・全施連思想構築のための説明 |
A6/26 | 博多 | 小賀氏・宗澤氏・伊藤氏 村井公道氏 他6名 |
B8/30 | 博多 | 小賀氏・宗澤氏・福田氏・村井氏 他10人 ・家族が望む施設像の素案に基いて討議 |
C10/1 | 博多 | 小賀氏・宗澤氏・小板氏・福田氏 他 8名 ・推進会議総合福祉部会の骨格提言をどう評価するか |
D11/27 | 名古屋 | 小賀氏 他6名・地方議会より政府意見書提出請願の文言検討 |
E1/21 | 博多 | 小賀氏・宗澤氏・伊藤氏 村井氏・他8名・提言「たたき台」検討 |
F2/11 | 博多 | 小賀氏・宗澤氏・福田氏 他10人・新法(案)への全施連の対応 |
G3/30〜3/31 | 福岡 | 小賀氏・宗澤氏・福田氏 他 12人・提言まとめ検討 |
8. 国政・請願・要望活動等
内 容 | 提出先 |
「障害者自立支援法一部改正案」に関するヒアリング | 自民党ヒアリング (3/29 民主党ヒアリング) |
「障害者総合支援法の骨格に関する総合福祉部の提言」に対する要望書・意見書提出・声明発表 | 民主党議員連盟・関係団体・民主党WT面談・民主党ヒアリング・民主党副幹事長面談 |
沖縄那覇学園事件について | 民主党議員連盟・関係団体・民主党WT面談・民主党ヒアリング・民主党副幹事長面談 |
総合支援法に対する意見書・要望書 |
民主党障がい者WT 自民党障害者特別委員会合同勉強会 |
「知的障害者が安心して暮らせる入所施設の新設を求める」政府への意見書提出についての請願 | 地方自治体への請願活動 |
知的障害者が安心して暮らせる入所施設の新設を求める意見書 | 各政党・関係議員・関係団体 |
9. 正副会長会の動き
県連学習会講演・他団体講演等 延べ28日 (国政・請願・要望活動等は除く)
10. ブロック活動報告
《九州ブロック協議会 》(熊本・福岡・大分・宮崎・長崎・鹿児島・佐賀・沖縄)
4/14〜4/15 ミニ講演 直近の課題について
《全施連関東ブロック連絡協議会》(東京・千葉・神奈川・群馬・埼玉・茨城)
5/17・7/20・10/13・1/23 全国大会開催関係・情報意見交換
《中国・四国・近畿・東海合同ブロック会議 》(島根・山口・高知・愛媛・兵庫・三重・愛知・徳島・広島・大阪)
11/14〜15全施連の最新活動報告、情報提供、意見交換
11. 沖縄那覇学園契約拒否事件
10/3東恩納氏のメールにて、不当理由にて継続契約拒否の事実が発覚。
那覇学園・沖縄県・那覇市へ抗議。沖縄県・那覇市へ要望書提出。関係団体へ要望書提出。
沖縄県・那覇市に改善命令の依頼。沖縄県は那覇学園に特別監査。
東恩納氏那覇学園に復帰するも後日退所。
12. その他
他団体への会議等に参加 延べ16日